50年ぶりの有人月ミッションへ。Imperx製カメラがNASA Artemis IIに搭載
弊社が国内で取り扱う米国 Imperx 社の産業用カメラが、NASA の有人月探査ミッション「Artemis II」に搭載され、2026年4月にケネディ宇宙センターから打ち上げられました。この採用の背景には、ひとつ前のミッション「Artemis I」から続く NASA との協働の歴史があります。Imperx 社の公式発表をもとに、その概要をご紹介いたします。
Artemis II — 50年以上ぶりの有人月フライバイ
Artemis II は、4名の宇宙飛行士が搭乗する10日間の有人ミッションです。総飛行距離は約685,000マイルにおよび、月の裏側の約4,600マイル先まで到達しました。これは過去のどの有人ミッションよりも遠方で、人類が再び月へ向かう歴史的な飛行となりました。
このミッションでは、月を往復する初の女性、そして初のカナダ人が搭乗した点も大きな意義を持ちます。搭乗クルーは、船長の Reid Wiseman 氏、パイロットの Victor Glover 氏、ミッションスペシャリストの Christina Koch 氏、そしてカナダ宇宙庁の Jeremy Hansen 氏の4名です。飛行中には3Dヒト組織チップが携行され、深宇宙放射線が人体に与える影響の研究も行われました。
採用されたのは堅牢化「Bobcat」シリーズ SDI-B1320 / SDI-B1920
今回採用されたのは、Imperx 社の堅牢化 CCD カメラ「Bobcat」シリーズの SDI-B1320 と SDI-B1920 です。SLS(スペース・ローンチ・システム)ロケットの Orion 宇宙船コアに搭載され、打ち上げ時のステージ分離(stage separation)の記録という重要な役割を担いました。いずれも HD-SDI 出力に対応し、宇宙という「やり直しの効かない」環境での運用を見据えた堅牢設計が特長です。
プレスリリースの中で、Imperx 社は次のようにコメントしています。
“We are thrilled to have the opportunity to capture history in the making and to contribute to the innovation that is shaping the lunar expeditions of the future.”(歴史的な瞬間をとらえ、未来の月探査を形づくるイノベーションに貢献できることを大変うれしく思います。)
NASAと共に鍛えた堅牢性 — Artemis Iからの協働
Imperx 社と NASA の協働は、今回の Artemis II が初めてではありません。ひとつ前の無人ミッション「Artemis I」に向けて、Imperx 社は NASA マーシャル宇宙飛行センターと堅牢カメラ SPC-S2010 を共同設計しました。今回の Bobcat SDI-B1320/B1920 とは別の製品ですが、このとき培われた堅牢設計の思想が、Artemis II のカメラへと受け継がれています。
SPC-S2010 は、グローバルシャッター CMOS を搭載し、1920×1080・最大60fps に対応する堅牢化カメラです。3G-SDI(SMPTE 424-1)と HD-SDI(SMPTE 292M)の出力を選択でき、電源絶縁保護、内蔵サーマルマネジメント、内蔵 LED リングライトなどを備えています。ロケットエンジン近傍の高熱と振動、そして極低温・放射線という宇宙の過酷な環境の両方に耐える必要があり、まさに極限条件を前提に設計されました。
その堅牢性について、NASA の機械技術者 Jarret Bone 氏は次のように述べています。あるカメラが噴射中のロケットエンジン近傍で8分間耐えたのち、極寒の宇宙環境を生き延びた事例を語ったものです。
“The environmental range on these cameras is insane.”(このカメラの環境対応レンジは常軌を逸している。)
この SPC-S2010 は、NASA の技術移転プログラム(Technology Transfer Program)によって「NASA Spin-Off」として紹介され、航空宇宙をはじめ、掘削・鉱業・航空といった過酷な現場向けにも提供できるようになりました。宇宙で鍛えられた堅牢性が、地上の産業用途にも活かされています。
「失敗が許されない場所で信頼される」
Imperx 社は米国フロリダ州ボカラトンに本社を置き、航空宇宙・マシンビジョン・交通・オートメーション向けのデジタルイメージング技術を専門とするメーカーです。同社はスローガンとして「Trusted Where Failure Is Not An Option(失敗が許されない場所で信頼される)」を掲げており、Artemis I から Artemis II へと続く NASA との協働は、その理念を体現する歩みといえます。
Imperx 製品のお問い合わせについて
弊社(代理店)は、Imperx 社の産業用カメラを国内で取り扱っております。宇宙用途のような極限環境はもちろん、外観検査・寸法測定・研究用途まで、高い信頼性が求められる幅広いアプリケーションに対応いたします。
製品仕様のご確認、用途に応じた機種選定、評価機のご相談などがございましたら、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡いただければ幸いです。
出典
- Imperx 社公式プレスリリース「Imperx Cameras Set to Launch: NASA Artemis II Mission」(2026年3月31日)
- Imperx 社公式ニュース「NASA Artemis II — First Crewed Lunar Mission in 50 Years」
- Imperx 社公式ページ「Imperx Collaborates with NASA to Redefine the ‘Rugged’ Camera」(2024年2月6日)